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2018年 第18回 東京国際音楽コンクール<指揮>
審査員インタビュー

第18回東京国際指揮者コンクールにおいて、審査員のひとりとして元サンフランシスコ交響楽団の事務局長、ピーター・パストリッチ氏が初めて招かれた。デイヴィッド・シュナイダー(当時の首席第2ヴァイオリン奏者)著、「THE SAN FRANCISCO SYMPHONY」(Presidio Press)の中に、パストリッチ氏は「楽団の発展に大きく寄与した辣腕交渉人」として写真入りで紹介されている。

─ まず、ご自身の音楽歴からうかがいたいのですが。
ピーター・パストリッチ(以下、PP):義父がダンス・バンドでトランペットを吹いていて、その影響で私もトランペットを始めました。エール大学(歴代の大統領ほか、有名人を数多く輩出している名門校)では英文学、パリのソルボンヌ大学ではフランス文学を学びました。その間も楽器は続けていて、医学生の時、医学部のオーケストラに所属し、そこで初めてオーケストラのマネジメントを学んだのです。もともと楽器で生計を立てようなどと思っていなかったのですが、親の意に反して医者ではなく、オーケストラの仕事を選びました。その後、小さな団体を経てセントルイス交響楽団に移籍し、そこで12年事務局長として働きました。1978年、39歳の時にサンフランシスコ交響楽団に移り、同じく事務局長として仕事をしていました。
─ 今回のコンクールの前にも、審査員のご経験はおありなのですか?
PP:2004年、バンベルクで開催されたグスタフ・マーラー指揮者国際コンクールが最初で、その時はグスターボ・ドゥダメルが優勝しました。2006年にも同じコンクールに審査員として出席しましたが、この時は1位はありませんでした。
─ 今回のコンクールですが、審査結果とご自身の予想とはへだたりがありましたか?
PP:結果が自分の思った通りとほとんど同じだったので、嬉しかったですね。
─ 優勝者は沖澤さんと予想なさっていましたか?
PP:彼女はファイナルには残るとは予想しましたが、優勝するかどうかはわかりませんでした。しかし、R.シュトラウスの「ドン・ファン」を聴いて、確信しました。なぜなら、あの曲はとても合わせるのが難しい。それを、あれだけ見事にやってのけるのですから、たいしたものです。他の審査員もきっと、同じことを思っていたに違いありません。ベートーヴェンやブラームスを彼女が選んでいたら、結果は違っていたかもしれません。
─ 優勝者を決めるのはスムースに行ったのでしょうか?
PP:このコンクールでは投票によって決めるのですが、各審査員がほぼ同じような結果を予想していたので、驚くほどすんなり決まりました。議論を重ねるバンベルクのコンクールとはやり方は違いましたが、どちらの方法でも良いと判断しています。

─ ファイナルに残れなかった指揮者で、個人的に印象に残った人はいますか?
PP:ディ-ン・ホワイトサイドです。彼は良い意味でとてもアメリカ的です。ただ、日本人の審査員の方には、受けが良くなかったのかもしれません。私は彼を買っています。
─ 今回のコンクールで、パストリッチさんが唯一、プロの音楽家として舞台に立っておられない方ですね。
PP:私は50年以上マネージャーとして活躍していたので、厳密には聴衆とは言えないかもしれませんが、でも、音楽家の耳でもありません。
─ コンクールは新たな才能を発掘する最上の手段とお考えでしょうか?
PP:良き方法のひとつだと思います。私は事務局長時代、コンクールも参考にしましたが、あちこちの演奏会に行き、他のオーケストラの関係者や数多くの音楽家などと情報交換をし、人材を探していました。
─ 優れた指揮者をどのように定義なさっていますか?
PP:オーケストラから良い音を引き出すことが出来、なおかつお客さんを退屈させないことです。ただ、音楽的に才能があっても、事務的な判断も要求される音楽監督、芸術監督といったポストには不向きな指揮者がいたりして、なかなか一筋縄ではいかないですね。
─ コンクールとは関係なく、ご自身が最近注目している若い指揮者はいますか?
PP:ドイツのクリスティアン・ライフChristian Reifです。彼はサンフランシスコ交響楽団を振っています。あと、最近増えてきた女性の指揮者にも興味があります。
─ 今回のコンクールはまさに、女性が優勝者です。指揮者の世界でも性別は関係ないですね?
PP:ええ、全くありません。これは、どの分野にも言えることでしょう。
─ 民音の運営については、どのような印象をお持ちですか?
PP:素晴らしい運営です。文句の付けようがありません。
─ もしも、次回のこのコンクールで審査員を依頼されたら引きうけますか?
PP:もちろんです! 喜んで!
─ 今日は、ありがとうございました。

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